大腿骨骨折

大腿骨骨折

もう一度、あなた自身の足で。
転倒への不安を、歩く自信へ。

転倒による、突然の骨折。痛みや手術への不安に加え、「また歩けるようになるだろうか」「また転んでしまったらどうしよう」と、将来への心配を抱えていらっしゃるかもしれません。

でも、ここからが、もう一度あなたらしい生活を取り戻すための、大切な一歩です。
大腿骨骨折のリハビリテーションは、単に歩く練習をするだけではありません。痛みを和らげ、筋力を取り戻し、そして何よりも「再び転ばない」ための身体と環境づくりを、専門家チームが一丸となってサポートします。

「大腿骨骨折」とは?

大腿骨骨折は、転倒などにより、太ももの付け根の骨が折れてしまう怪我で、特に骨がもろくなる「骨粗鬆症」をお持ちの高齢の方に多くみられます。

手術で骨を固定した後、大切になるのが「できるだけ早くベッドから離れて、リハビリを始めること」です。
動かないでいる時間が長くなると、

  • 足の筋力がどんどん落ちてしまう
  • 肺炎や、血の塊(血栓)ができるリスクが高まる
  • 頭がぼーっとしてしまう(せん妄)

といった様々な問題が起こりやすくなるためです。私たちは、患者さんの全身の状態を慎重にみながら、安全に、そしてできるだけ早期にリハビリテーションを開始します。

病状・起きやすい障害

手術後の痛みだけでなく、以下のような様々な変化が起こることがあります。私たちはこれらの課題に、チームで対応していきます。

身体的症状
  • 痛み、筋力低下、歩行不安定、転倒再発
  • 術後の可動域制限、脚長差感、跛行
全身的合併症

せん妄、食欲低下、便秘、肺炎、血栓など(全身状態の影響)

「活動量低下→廃用(筋力・体力低下)→さらに動けない」の悪循環

当院の専門的リハビリテーション

あなたの「できるようになりたい」に応えるため、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が中心となり、あなたの「歩く自信」を取り戻します。

理学療法:安定して歩くための土台づくり

  • 痛みの管理と並行して、立ち上がり・歩行を段階的に再獲得
  • 杖・歩行器の適正選定、荷重(体重をかける量)の練習
  • 大腿四頭筋・臀筋の筋力、バランス、持久力の強化
  • 転倒予防(筋力だけでなく、視力・靴・環境・薬剤なども含めて評価)

作業療法:安全な日常生活の再獲得

  • トイレ・入浴・更衣などのADL再獲得(「痛くても安全にできる動き方」)
  • 退院後の生活導線に合わせた動作練習(段差、布団、浴室など)
  • 福祉用具・住宅改修(手すり、滑り止め、椅子の高さ調整など)

言語聴覚:回復を支える「リハビリ栄養」

  • 高齢の方で、嚥下低下・誤嚥リスク、認知機能低下やせん妄がある場合に介入
  • 食事形態や姿勢の調整、コミュニケーション支援

リハビリテーション栄養の視点】

骨や筋肉の回復には、タンパク質やカルシウム、ビタミンなどが欠かせません。管理栄養士が、栄養バランスの取れた食事を提供し、身体の内側から回復をサポートします。

よくある質問

Q
手術の翌日からリハビリテーションするのはなぜ?
A

動かない時間が長いほど筋力や体力が落ち、肺炎・血栓・せん妄などのリスクも上がるため、全身状態を見ながら早期離床を進めます。

Q
どのくらいで歩けますか?
A

術式、骨折型、術前の歩行能力や認知機能、筋力などで変わります。回復期では「歩く」だけでなく、転倒しにくい動作や体力づくりも含めて進めます。

Q
退院後もリハビリテーションは必要?
A

ガイドラインでも、退院後のリハビリテーション継続や、再骨折予防(二次骨折予防)が重要項目として扱われています。

Q
また転ぶのが心配です
A

筋力・バランスに加え、薬剤、視力、靴、住環境など多因子が関与します。チームで原因を評価
し、対策を組み合わせます。

ご家族の方へ

退院後の生活では、ご家族のサポートが「再転倒の予防」に繋がります。

  • 焦らず、見守る: 退院直後は、ご本人のペースで、安全な動作を一つひとつ確認することが大切です。転ばないことを最優先に見守ってあげてください。
  • お家の環境チェック: 床にコードが這っていないか、絨毯の端がめくれていないか、廊下は暗くないかなど、転倒の原因になりそうな場所を一緒に確認し、整理しましょう。
  • 栄養と水分を意識: 食欲が落ちやすい時期ですので、ご本人が食べやすいものを工夫するなど、栄養と水分がしっかり摂れるようサポートをお願いします。
  • 骨粗鬆症の治療を一緒にサポート: 骨を強くするための治療は、継続が大切です。通院やお薬の管理を、ご家族も一緒に把握し、支えてあげてください。

退院後の生活で大切なこと

一度大腿骨を骨折した方は、次の骨折(二次骨折)を起こすリスクが高いことが分かっています。
当院では、ご自宅に戻られた後も、訪問リハビリや通所リハビリといったサービスで、あなたの「自分らしい暮らし」を継続的にサポートします。

退院後の注意点

  • 痛み・腫れ・熱感の増悪、創部の赤みや浸出液、発熱は早めに連絡。
  • ふくらはぎの強い痛み・腫れ、息苦しさ・胸痛は血栓症の可能性もあるため緊急相談。
  • 二次骨折予防として、以下の4つをセットで続けることが、あなた自身の未来を守ります。
  1. 骨粗鬆症の治療を続ける
  2. 適度な運動を続ける(筋力・バランス維持)
  3. 転倒しない環境づくりを続ける
  4. バランスの良い食事を続ける(特にタンパク質・カルシウム・ビタミンD)